塵塵工芸は、能登半島の入口・千里浜から内陸へ数キロ入った場所にある、金属加工を主とする工房です。
日本海に沿って長く延びる千里浜は、細かく粒の揃った砂が水分を含むことで固く締まることから、波打ち際を車で走ることのできる浜として知られています。
潮の流れによってさまざまな塵埃が浜へ運ばれてきたことに由来して、かつてこの地は「散浜」「塵浜」とも記されていました。古代の能登は日本海を介して大陸と結ばれ、渤海の使節がたびたび来着したことも史料に残されています。
塵塵工芸では日本に古くから伝わる真土型鋳造法と呼ばれる技法を用いています。砂や粘土からつくられる「真土」と呼ばれる鋳物砂に原型を写し取り、鋳型を焼き、そこへ溶かした金属を注ぐ。砂の粒の細かさ、乾き具合、火の温度を見極めながら、花器、骨壺、香炉など、暮らしや祈り、弔いの場に置かれる器を、一点ずつ制作しています。
海が細かなものを運び、人々がやがて浜を名付けるように。
砂の粒がかたちを引き受け、金属に輪郭を引き継ぐように。
塵塵工芸という名は、この土地のかつての名である「塵浜」の字を受け継いでいます。土地に残された記憶と、古くから伝わる鋳造の技術を足場に、現代の生活のなかに置かれる金属のかたちをつくる工房です。
工房代表
堀内快 Horiuchi Kai
1994年 石川県生まれ
2023年 金属加工工房「塵塵工芸」設立

